こんにちは。TOMOです。
Snowie先生との関係が強固になって戻ってきたので、半年ぶりの個別ハンド分析です。
今までは自分が関わっていたハンドでしたが、今回はオンラインで観戦していたハンドをご紹介しつつそれぞれどういったレンジがありうるのかをコンビナトリクスを活用して見て行きたいと思います。
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6-max 25-50
プリフロップ
UTG(LJ) r150(計5,000)
BTN c(計6,000)
BB c(計5,600)
フロップ
Q♡4♧5♢
BB ✓
UTG ✓
BTN ✓
ターン 475
3♧
BB b338
UTG f
BTN r1,127
BB c
リバー 2,729
5♧
BB ✓
BTN b1,815
BB rAI 4,326
BTN f
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皆さんはどう想像されますでしょうか。
それぞれのレンジをSnowieを活用して見て行きます。
◆BTN プリフロップUTGオープンにコール◆
UTGの3BBオープンという強いアクションが前で繰り広げられた際のボタンです。
コールレンジは、1/2ポットレイズを前提にするとSnowieいわく以下の通りです。
強いハンドでもJJが60%コール止め・AKsでも17%コール止め・AKoに至っては100%コール推奨となっています。
コンボ数とレイズ頻度から計算すると、持ちうる可能性が高いハンドは上から順にAKo・AQo・QJs……となっていきます。
◆BB プリフロップUTGオープン・BBコールにコール◆
UTGのオープンレンジは強い。
オープン額が大きければより強い。
それに対抗する人のハンドは強い。
そんな状況に飛び込むBB。
BTNと同様に1/2レイズを前提にしたレンジでレンジを表にしていったものがこちらです。
コンビナトリクスという言葉をせっかくなので使いますが、コンビナトリクス的には
・全部で64コンボが考えられる
・44~99のポケットが65%
・それ以外のスーテッドが35%
・それぞれのスートを持っている確率は約9%(35÷4)
なんて言い方ができます。
◆BB Q54rフロップにチェック◆
ここはBBお約束のチェック……かと思ったところ、全然違いました。
1/2ポットベットを前提にすると以下のように画面に切れるくらいベットレンジがありました。
・65sを持っていたら100%ドンクベット
・66~88を持っていても80%程度の頻度でドンクベット
・トップペアとなるQJsは、バックドアフラッシュドローのないQJ♤♤は69%、バックドアのあるQJ♢♢・QJ♧♧は18%のベット頻度
等といった混合戦略になっています。
プリフロップでのUTGのオープンレンジは飛ばしてBTNのコールレンジから入りましたが、これはUTGの3BBオープンのレンジを見て行く必要もありそうです。
(関係ない上に数多いから工数削減で飛ばしたものの、そういうわけにはいかなくなりました)
いわゆるレンジ表通りではありますが、BTN・BBのレンジと同様の表にするとUTGのレンジはこういった一覧になります。
これを今回のQハイボードに関係するか否かをキーにして分類していくと、以下のようにKK+が6.8%・Q持ちが22.6%……となります。
ミドルヒット以上の99~JJ・2オーバーのAKを入れてもプリフロップの時点でこのボードに耐えられうるハンドが50.7%となります。
さすがUTGレンジ。ブロードウェイカード1枚のボードで2回に1回はちゃんと強い!
となるとBBのドンクベットは「セットレンジを2つ持っているのがBBだけだから?」と疑問に思うかもしれません。
ポーカー用語をあえて使うと「ナッツアドバンテージがあるから?」なんてところでしょうか。
いえいえここからボードをブロッカーとしてUTGのレンジを削って同じ表にまとめます。
Q♡を持ちえないので、QQのレンジが半分になり、Qxsのレンジが3/4に減ります。
つまりTP以上が27.4%(4回に1回)、2オーバー・ミドルヒット以上のポケットを入れても46.8%と50%を下回りました。
BB vs UTGのヘッズアップであれば十分ドンクベットが有効になりそうです。
※Qを含まないハンドの持ちうる確率も若干変わっていますが、Q♡を含むハンド(分母)の可能性が減ったために起こっているので正常です
ではここでBTNのレンジも改めて見て行きます。
元々BTNのコールレンジは約3回に1回がAK・もう3回に1回がAQという偏ったレンジだったため、Q持ち27.5%・AK42.0%となっています。
ナッツアドバンテージでいえば、KK+も勿論、QQ・44・55のセットがなく、よくてTPTKという微妙な状況です。
BBがプリフロップでコールして3wayになった時点で、ポジションはあるとはいえこのボードはBTNにとってかなり分が悪いと言えます。
一方のBB。
プリフロップを1/2ポットベットを前提にすると上記に記載したレンジのように
・55セット
・44セット
・54s 2P
・QJs
と多くの強いコンボが残っているのが3人のうち唯一BBのみです。
それ以外のハンドも66~99の割合が高く、以下のように58.2%がAKに勝っている1P以上で、うち4回に1回がセットという相手からすると厄介な状況です。
また、(プリフロップの3bet額を1/4ポットレイズ・ポットベットレイズを前提にしてコールに回した)レンジの中には67s・87sといったハンドも残っている可能性があります。
・76♧♧: OESD & BDFD(オープンエンドかつバックドアフラッシュドロー)
・87s♧♧:GSSD & BDFD(ガットショットかつバックドアフラッシュドロー)
以上のことを考えて行くと、実際に4や5を1枚持っている64s・65s等もブラフレンジに混ぜ、広くドンクベットをしていくというのは非常に理にかなっているように思えます。
少し複雑過ぎるハンドですが、今話題のベットの理由はバリューとブラフに二分化されるだけではなく、エクイティを考慮して期待値の高いプレイをするといった例にもなりそうです。
等と考えさせられましたが、実際のフロップはチェックです。
徒労っぽくはありますが、こういう疑問に感じたハンドを一つひとつしっかり振り返って深掘っていくことが重要だと思っています。
◆BTN Q54rフロップにチェック◆
そしてUTGもチェックし、BTNに回ってきました。
BTNのレンジはそもそも狭く、3回に1回はAQでした。
もしそのAQを持っていて1/2ポットベットを検討した場合も、2回に1回はチェック推奨となります。
上記のようにBBのレンジが強いことを考えると、ベットした後に難しいアクションを迫られる可能性もあります。
UTGが「AQならベットするだろ。そしたらリバーまでに全部取れる」と考えてQQやKK+でチェックしている可能性もあります。
とはいえターンのフリーカードを与えることで、セットやストレート・Kヒットに発展する恐れもあるので毎回チェックするのではなくAQを持っている2回に1回(全体で6回に1回)ベットする。
かなりしっくりくるアクションのように思います。
また、仮にベットする際のレンジは、AQ(トップペアトップキッカーという強いハンド)以外にもブラフを混ぜないといけない! という熱い使命感からか、AJ♧♧・AJ♤♤がブラフレンジに混ざっています。
他に最適なカードが無いからAAをブロックしているAJってことになっているんだと予想はできますが、これは人間にはどんなに考えても理解が及ばない気がします。
◆BB Q543 ♧2枚ターンに約70%ベット◆
フロップでドンクベットが打てる状況ですが打ちませんでした。
オリジナルのUTG、ラストアクションのBTNもベットせずに回ってきたターン。
そしてかなりコネクトしたボード。
これは打ちたくなる!
と人間なら思うところですが、逆にSnowieはフロップとは打って変わって11.93%がベットレンジと狭いレンジでのベット推奨となっています。
※実際のベットは70%ポットベットですが、Snowieの仕様上ポットベットでのレンジにしています
ベットレンジは
・ストレート7.96%
・セット55.31%
・ワンペア(ローヒットストレートドロー)36.73%
とかなり強いハンド(UTGのQQ3コンボ以外に勝っているほぼナッツ)とモンスタードローに偏らせてきました。
かなり良い感じの塩梅だからか、フロップでベットしていた99やQJs等は全て無くなりました。
後のストリートが少なくなった(ブラフで降ろしきることもバリューを取ることも難しくなってきた)ので、トップヒットのQJs・66~99といったマージナルハンド・JT♧♧等のフラッシュドローはショウダウンバリューを取りに行く戦略に切り替えた
といったところでしょうか。
気持ち的にはQJ♧♧やTJ♧♧等のフラッシュドローもブラフレンジに混ぜたいところですが、バランスが悪くなりレイズを誘発させることが利益的でないという天才の発想なんだと信じましょう。
ちなみに1/2ポットベットは76♧♧のみ、1/4ポットベットはQJs・66・77等マージナルハンドとなっています。
<1/2ポットベット>
<1/4ポットベット>
1/4ポットベットはSnowie先生大好きな基本ベットフォールド一部ベットレイズを含むブロックベットといった意味合いですね。
1/2ポットベットのレンジが1コンボだけってのは素直に謎です。
◆BTN ターンのBBドンクに70%レイズ◆
BBがベットし、UTGがダウンして回ってきたBTN。
ここまで考えて行くとSnowieレンジであればレイズできるハンドは無いはずです。
AQをフロップでチェックに回していたとしても、コールできるかすら微妙といった感覚です。
Snowie先生も同様の意見でした。
100%フォールドです。
今回このハンドを分析しようと思った一番の理由であるアクションですが、(え、何が考えられるん?)という疑問はもっともだったようです。
◆Q♡5♢4♧3♧5♧ ボードのリバー攻防◆
再渇すると、リバーのアクションはポット2,729に対して
BB ✓
BTN b1,815
BB rAI 4,326
BTN f
となります。
Snowie的にはこのリバーではどちらのハンドも持ち得るハンドは存在しません。
BB目線でいえば、BTNは(ポットを獲得するためには)何を持っていてもリバーでベットするしかなく、レイズAIに耐えられるハンドは当然持ちえないということになります。
BTNが完全にミスプレイをしてしまい、BBに付け込まれたのが真相といったところでしょうか。
BBがフロップでスロープレイをしていた場合、55クワッズなんてことも考えられそうです。
以下おまけです。
ただ、プリフロップからの動線で考えていくと、何故かSnowieのハンドレンジから消えているBTNが同じアクションを取って矛盾しないかもしれないハンドが1コンボだけ存在します。
AK♧♧
です。
1/2ポットベットを基準にするとBTNのAKsは100%の頻度で3betではなく、17%の頻度でコールとなっていました。
しかし、フロップ以降のレンジから何故か消えていました。
理由としては、プリフロップで1/2ポットレイズを前提にするのではなくポットレイズしておくべきだったからとなります。
「レイズ額を前提にして1/2ポットレイズをするべきか」を軸に考えるとコール止めも選択肢に入るのでレンジに残るものの、様々なレイズ額から最適なレイズ額を検討するとポット額での3betが最適解になり、フロップに残っているはずがないといった理論です。
こういうハンドはレンジアドバイスのレンジ表から抜いておいて欲しいものです。。
また、相手はSnowieではなくミスも好みもある人間ということを考えると、実践であればボタンに76♧♧が残っていてターンストレートからのリバーストフラに発展してた……なんてことも普通にありそうです。
コンボ数で相手のハンドを考えること(コンビナトリクス)が難しいと言われる所以でしょうか。
これは自分が参加していないハンドですが、とても気になったハンドなので検証していくとかなり縦にも横にも広い話になってしまいました。
海外遠征の集計以外では過去一番に気合の入った記事になったと思います。
もし最後まで読んでくださった方がいましたら本当にありがとうございます。
以上。