なぜ相手のAKは強いのに自分のAKは弱いのか

こんにちは。TOMOです。


凄く久しぶりにポーカー系の記事投稿をする気がしたので過去記事を振り返ったら、まさかの昨年10月以来の8ヶ月ぶりのポーカー記事でした。


さすがにサボりすぎなので今後は更新頻度を上げていければと思います。


さて、本題です。


「相手のAKは強いのに自分のAKは弱い」という話を聞いたことはないでしょうか?


もう少し具体的に会話レベルにまで噛み砕くと

「毎回自分のAKは滑る(AかKのペアを作れない)んですよね」
「相手のAKはちゃんと仕事する(AかKをヒットさせる)のに、自分のAKは仕事しない」
「自分がAQでオールインすると決まって後ろにAK持っている人がいて負ける」

こんな奴です。


ポーカーを何度もプレイしている人ならば、一度はそんな話を友達や同卓したプレイヤーとしたことがあるのではないでしょうか。


ではここで問題です。


「相手のAKは強く、自分のAKは弱い」そんなことはあり得るのでしょうか?


確率的に言えば自分のAKも相手のAKもフロップで1ペア以上になる確率は同じですし、自分のAKが誰かのAAに当たる確率も自分のAAが誰かのAKに当たる確率も同じです。


だから自分のAKも相手のAKも強さは数学的に一緒で、結論「相手のAKは強く、自分のAKは弱い」はありえません。幻です。……。


なんて文章を見ても、
「そういった数字の話は勿論理解した上で、それでもやっぱり『自分のAKに比べて相手のAKの方が強い』という感覚は幻のように思えない。理由はうまく説明できないけど」
……という方も多いのでは無いでしょうか?


僕もその一人でした。


その理由がモヤモヤしていたのですが、今回うまく文章化できそうだったのでこの理由とこの感覚を減らす対処法を以下に記事にしています。

なぜ相手のAKは強いのに自分のAKは弱いのか。


結論から言うと、
 ・相手のAKは変幻自在
 ・自分のAKは一種類のAKでしかない

というのが大きな理由です。


どういうことでしょうか?


具体例を用いて考えます。


==========
例1)
6人テーブルでボタンの自分がハンド77で3BBにオープン
BBが9BBの3bet
自分がコールしてヘッズアップ

フロップ
Q♡9♤5◇

BBが9BBのベット
ボタンの自分がコール

ターン
J♤

BBが18BBのベット
ボタンの自分が渋々ダウン

==========

==========
例2)
6人テーブルでCOが3BBにオープン
ボタンが9BBに3bet
SBの自分がAKo(A♤K◇)でコール
COがコール


フロップ
J♡J◇9♡
SBの自分がチェック
COもチェック
ボタンが15BBのベット
自分がダウン
COがダウン

==========


それぞれ自分目線で振り返っていきます。


1つ目は、
77でオープンしたら3ベットが来てフロップにオーバーカード(8以上)が2枚。
ここは踏ん張って相手のベットにコールするもターンで更に別のオーバーカードのJが来て相手のベットにギブアップのダウン。


2つ目は、
プリフロップで自分に回ってくる前に3betまで発展。ハンドはAKとはいえ弱気にコールして3wayでフロップへ。
Jのペアボードにボタンのベットに対して後ろにCOもいるのでただのAハイをダウン。


自分目線で文章にするとこんな感じでしょうか。


もう少し細かく考えると、

1つ目は88以上のポケットペアに負けていて、AQやAJ・JTs等にも負けているので、77が勝っている相手のハンドがAKやATのブラフくらいしか無さそう

2つ目は全てのポケットペア・AJ等のJ持ち・T9s等の9持ちに負けていて、現状勝っているはずのAQ♡♡やQTsのようなドロー系がどちらかにいるだけでポジションが無い中AKハイで戦うと期待値のプラスなプレイはしにくい

くらいまではプレイ中に考えそうです。


ではここで答え合わせをしていきます。


相手はポットを取った時に何故かハンドをショウしてくれて、
1つ目のSBはA♤K♤、2つ目のボタンはA♡K♧を持っていた……
と聞いたらどう思うでしょうか?


こう文章で見ると
「相手のプレイがうまかった」
「1つ目はたまたま自分が77を持っていて、2つ目はたまたまポジションが悪かった」
「たまたま今回は相手がAKだっただけで、AAやセットの可能性も十分あった」
等と割り切れる人も多いかもしれませんが、実際テーブルに座ってこんなAKショウをされたら
「やっぱり相手のAKは強いじゃないか!」
と後々まで心に残りそうな1ハンドになりそうじゃないでしょうか?


冷静に考えれば当たり前なんですが、自分にとっての相手のAKはレンジの中の一つでAAやKK・セットといった幻想に守られているんですよね。


今回の2つの例のように、実際はただのAKハイなのにAAでありKKであり、QハイボードではAQに見えたり更にJのペアボードではAJやJTに見えたり。

リバーまで行って同じ色(例えば♤)が3枚揃った日にはアクションの流れ的にAK♤♤やAQ♤♤のように見えてしまう。


そして実際にショウダウンまで行く場合は大抵相手のAKは滑ってないことが多いので、本当に相手のAKは毎回仕事をしている(1ペア以上の役を作っている)と対峙している側からは見えてしまいます。


この相手のハンドはレンジで考えさせられることが「相手のAKは強い」と感じる理由です。



ではここで上記2例について相手目線になって考えてみます。


1つ目は相手のボタンオープンにBBのAKsで3betしてフロップへ。
Qハイボードでベットするも相手がコール。
ターンはJでガットショットフラドロができてベットして相手が悩んで結果ダウンしたのでポット獲得。

この無理やり相手を降ろした感のあるハンドで「AK仕事した!」と思えそうでしょうか?


2つ目はボタンでCOに対してAKoで3betするもSB含めた3wayでフロップへ。
JのペアボードでナッツフラッシュドローをブロックするA♡持ちでベットしたらふたりとも降りてくれてポット獲得。

この運良く二人とも降りてくれたハンドで「AK仕事した!」と思えそうでしょうか?


そうなんです。
この2プレイ、AKでポットを獲得している……それも3ベットポットでそこそこ大きくなったポットを獲得しているにも関わらず、ポットを獲得した側が「AK仕事したなー」となかなか思えないんですよね。


勿論経験の深いプレイヤーは
「いやいやAKというのはAとKを一枚ずつ持ってAAとKKのように扱えるし、更に相手のAQやKQ・AJのようなハンドをブロックしているからAKはそれだけで十分仕事しているんダヨ」
という呪文のような文章を口ずさむかもしれませんが、人間心理としてはなかなかこんな風には思えません。


自分のAKは確かに滑って、あとは自分の気合い(というなのブラフ)でポットを獲得していて、それはAKの力ではなく自分の勇気の勝利なのです。


つまり目に見えるハンド=AKはポットを獲得してもそれだけでは仕事をしていないように見えることが多々あるということです。


とくに実際にプレイしている間(ポストフロップでヒットせずにベットして相手のアクションを待っている時間等)は自分のAKがAAやKKの幻想に守られていると頭の片隅で理解していながらも1ペアも作れない事実に注目しがちです。


そうなると本当に滑ってポットが取れなかった(今回の2例ではどちらも相手が降りずにリバーでドローも引けずにショウダウンまで行った)場合は勿論仕事をしていないと感じるので、結局ポットが取れても取れなくても仕事をしていない……と感じてしまうわけですね。


そしてフロップにAやKが出た場合が明確に仕事をしている場面になりますが、その場合は3betをされた(あるいは自分のオープンにBBでコールした)相手側は普通に降りることが多く、ポットも小さくあまり印象に残ることはありません。


これらが「自分のAKは(本当の強さ=獲得したチップ-失ったチップに比べて)弱い」と感じる理由です。


ではこの現象についてどう対処すれば良いのでしょうか?

・相手のAKが(必要以上に)強く感じる時
・自分のAKが(実際以上に)弱く感じる時

に分けて考えていきます。


・相手のAKが(必要以上に)強く感じる時
これは、主にフロップのAやKに必要以上に怯えて降ろされ過ぎているパターントップヒットのキッカー勝負で大きく負けているパターンの2つが考えられます。


前者は、たまにショウダウンまで行って勝利している相手のAKの印象が強すぎることで、AハイボードやKハイボードでミドルヒットやポケットペア・場合によってはAの弱キッカー等を相手のベットの圧で降ろされ過ぎているパターンです。

相手も自分も適正にベットして適正に降りているなら運が巡り合わせの問題ということで後は気持ちの問題になりますが、そうでなく(なんか相手ベット頻度多い気がするなー)と感じるのであれば、少しずつコールする頻度・レイズを返す頻度を上げていくことが大切です。

相手のベットにコールするためには常に勝っている必要はなく、ポットハーフに対しては4回に1回(必要勝率25%)、ポットベットに対しては3回に1回(必要勝率33%)等負けている可能性が高くてもコールが正当化されることを認識して対抗していくことで相手のAKという幻想を打ち破ることができます。


後者については、逆にAハイボードやKハイボードでショウダウンまで行ってキッカー勝負で負けているパターンが続くならば、プリフロップの参加判断が誤っている可能性があります。

具体的には
 ・ハンドにAがあると誰かがオープンしていても参加する
 ・KTやKJのようなハンドは強いので毎回参加する
 ・相手の3betに対してA2o~A9oでコールする
等は数学的に正しくないことが多いです。

相手が自分より強いハンドの組み合わせ(その筆頭がAKの確率が高いレンジ=例えば99以上のポケットとAQ・AKのみ)で参加している場合、1ペア同士や2ペアvs3カードで負ける可能性が高くなり期待値として大きくマイナスになるので、プリフロップで参加するハンドとシチュエーションを見直してみることが大切です。


余談ですが、お互いが正しくプレイしていてそれでも相手のAKが強いと感じる場合は前半部分の内容を思い出し(そういうものか)と考えられると、少しでも気持ちが楽になりプレイの質が下がりにくくなるかもしれません。


・自分のAKが(実際以上に)弱く感じる時
こちらも、消極的すぎて機会損失が発生しているパターン無理をしすぎて損失を拡大しているパターンと大きく2つに分けられます。


前者(消極的すぎて機会損失が発生しているパターン)は、例2で考えると分かりやすいです。

例2は、
6人テーブルでCOが3BBにオープン
ボタンが9BBに3bet
SBの自分がAKo(A♤K◇)でコール
で始まりました。


このSBのコールは本当は正しいプレイではなく、4betをすることが期待値の高いプレイとなります。


Snowie先生もコールしたアクションについて長々とした英語で「AKはブラフレイズに最適なので4betをしなさい。コールされてもフロップで強い1ペアやストレートドローが引けるかもしれないよ」と言っています。



実際に4betを選択していた場合、COはJJやAKまで降りることが正当化されます。


更にCOが降りた場合、ボタンは64%のハンドでフォールドとなります。


COは96%程のレンジでフォールドとなるので、約62%の確率で2人が降りてそのままポット獲得できる計算です。


また、別の見方をすると、例2の流れのままSBがレイズを選択せずに3人でフロップを見たとします。

例2ではフロップでボタンがベットをしてポットを獲得していますが、ここでチェックという消極的なプレイをした場合、ボタンが一人でポットを獲得することはかなり難しくなります。

この例の場合チェックでも完全な誤りではないですが、96%の頻度でベットすることが期待値の高いプレイになり、チェック頻度が高すぎると機会損失がより発生することとなります。

プリフロップもフロップ以降もAKのプレイはとても難しいことがあるのは事実ですが、(相手のAKが強いと感じるように、自分のAKも相手から見たらAAやセットに見える)ことを思い出すとある程度アグレッション高くプレイでき、自分のAKが今までよりも強く感じるかもしれません。
(自分が上手くなった、と思って終わりかもですが)

最後に、自分のAKが(実際以上に)弱く感じる原因が無理をしすぎて損失を拡大しているパターンについてです。


せっかく前に良い例が出てきたので、それを使います。


例2でCOがオープンしてボタンが3bet、SBが4betをした場合、COはJJやAKまでフォールドすることが正当化されていました。

図にするとこれですね;



ですが、「AKはどんな時も降りないんじゃーーー」のポリシーを持った方もいるのではないでしょうか。


勿論相手や状況(スタックの深さやトーナメントの終盤等)によってはそれが正しいプレイのこともありますが、今回のシチュエーションで相手が正しくプレイができる場合はフォールドが絶対の正解となります。


また、例2の通りフロップまで進んだ時に、ボタンのベットに対してSBでAKoを持っていると(プリフロップでレイズしなかったし、1回だけ……)とコールしたり、はたまたなぜかフロップでいきなりベットしちゃったり、似たような経験はないでしょうか?


プリフロップもフロップ以降も、ベットもレイズもコールも、無理しすぎるとそれだけでマイナスを垂れ流す行為となりえます。


「無理しすぎる」は言い換えれば、
 ・自分のAKより相手のレンジの方が強い中勝負をする(コール)
 ・降りない可能性が高い相手にブラフをする(ベット/レイズ)

となります。


自分がAKを持っていることは相手のAAやKKの可能性を減らしているということは事実ですが、シンプルに
 ・相手のレンジにAKは勝っているのかどうか
 ・負けている場合、ベットしたら相手はどの程度の頻度で降りるのか
 ・現状負けている場合、どの程度の確率でターンやリバーで捲れるのか

等を都度考えてプレイすると、ある程度正しく(今回は諦めよう)と身を引くことができ、損失を最小限に留めることができます。


実際プリフロップのAKは僕も(降りていたらポーカーにならないんじゃないか?)と思っていた時期もありますが、KKですらも降りることがあることを認識してからは結構うまく降りるかレイズするかコールするかの判断ができるようになりました。

もし同じように感じる方がいたら、こちらの記事がオススメです;
【ハンド分析】UTG KKでオープンし、3bet・4betが入っての再アクション。KKは勿論??


ということで長々と相手のAKは強いけど自分のAKは弱いについて書きましたが、まとめです。


・「相手のAKは強く、自分のAKは弱い」感覚はある意味正しい

・その大きな理由は、相手のAKは変幻自在(レンジの中の一つ)で、
 自分のAKは手元にある一種類のAKでしかない
ことに由来する


・AKでポットを獲得しても滑った時はAKより自分を評価しがち

・相手のAKが(必要以上に)強く感じる場合、主にフロップのAやKに必要以上に怯えて降ろされ過ぎているパターンとトップヒットのキッカー勝負で大きく負けているパターンの2つがあり、前者はコールオッズを考慮したタフコールが必要で、後者はプリフロップのレンジ選択が必要

・自分のAKが(実際以上に)弱く感じる場合、消極的すぎて機会損失が発生しているパターンと無理をしすぎて損失を拡大しているパターンの2つがあり、前者は「相手のAKが強いと感じるように、自分のAKも相手から見たらAAやセットに見える」こと、後者は「相手のレンジやベットに対して相手が降りる可能性、以降のストリートで捲れる可能性」を考えると正しいプレイになりがち


ちなみに昨年2月のコロナ前にプノンペンで7日間1/3ドルのキャッシュゲームを打ちましたが、AKsは12ハンドで10回のポット獲得(+800ドル)・AKoは24ハンドで15回のポット獲得(+1093ドル)した。


その時の概要はこちらの記事【ポーカー】プノンペンキャッシュ修行旅 データまとめ【海外遠征】でまとめていますが、皆さんも集計してみたら思った以上にAKが仕事をしてくれていることを知れたり、AKとの扱い方を変えるキッカケになったり、良いことがあるかもしれません。

TOMO@KL

マレーシア首都のクアラルンプール在住。

ポーカーが趣味で1~2ヶ月に1回程度仁川・マニラ・台北・ホーチミン等に海外遠征。
当初はライブトーナメントのみプレイしていたが、現在はキャッシュ・オンライン等形式は問わず幅広くプレイ。

マレーシア在住の方やポーカー好きの方等、積極的にメッセージいただけると嬉しいです。

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