2018年12月11日23時45分。
D7 523便が羽田空港を出発した。
D7 523便が羽田空港を出発した。
僕は機内でニンテンドースイッチを起動。
発売して幾週間か経ったポケモン(レッツゴーピカチュウ)を開始。
隣には友人N。
マレーシア移住を1年程前から一緒にしようと話していた年上で頼りになる友人N。
結局、そわそわしながらすぐにスイッチの電源を切る。
僕「そういえば、数日前に帰省して父親に会いました」
N「お父さんなんか言ってた?」
僕「親父の中では、僕結構東南アジアに旅行しているイメージらしいんですよね」
N「実際フィリピンとかベトナムとか行ってるし、当たってるじゃん」
僕「それで、『お前マレーシア移住するのは分かったけど、今まで何回くらい行ったことあるんだっけ?』って聞かれたんです」
N「もっともな質問だね」
僕「『え、行ったことない』って答えたんですよ」
N「・・・」
僕「あ、親父と同じ反応ですね」
N「・・・」
僕「しばらくの後、『行ったことない国に移住すんの?』だって」
N「・・・」
そんなたわいもない会話をしながら、1分2分と時が過ぎていく。
深夜便にも関わらず全然電気の消えない機内に周りがイライラし始める中、持ち前のどこでも寝れる特性を生かし、眠りにつく。
窓際の席で目を開けると、国土が見える。少しテンションが上がる。
「ポーカーのできない国・マレーシアね……」
ふとスマホを見ると、日付はとっくに回って2018年12月12日になっていた。
この日僕は上空何千メートルかの鉄の塊の中で、日本の非居住者となり、マレーシアの居住者となった。