【ポーカー】"レンジとオッズで考える"ということ【脱初心者の心がけ】

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こんにちは。TOMOです。

 

 

最近知り合いに「TOMOさんのいう”レンジとオッズで考える”って具体的にどういうこと?と聞かれました。

 

対面でトランプとチップ・それに紙とペンがあったら嬉々として語る場面なのですが、そこはコロナ禍。

 

ということで文章でなぐり書きしたモノをブログ用に若干直してみたのでご紹介したいと思います。

 

※知り合い用にまとめていた記事なので、普段と文体が全然違います。ご容赦ください

 

 

ポーカーで勝つためには、レンジとオッズで考えることが基本となる。

 

巷にあふれるゲーム理論を用いたアクション、あるいは熟練者が経験に基づいて決定するアクションの裏には“レンジ”“オッズ”が必ず隠されている。

 

言い換えると、ベットやチェック等のアクションをする際、“レンジ”と”オッズ”を考えるだけで中級者としてそこそこのフィールドで勝てるようになるとも言える。

 

どういうことか。

 

例を見て考えてみよう。

 

分かりやすく
・プリフロップでSBが5BBのオールインをして、BBでQJsが配られていた場合のアクションをどうするか?
を考える。

 

自分のレンジはQJs一点なので、今回考えるべきは”相手のレンジ”と”そのレンジに対するQJsの勝率がオッズに合っているかどうか”である。

 

相手のレンジが「ハンドの30%」だと想定しよう。

 

この想定の場合、具体的にどんなハンドがレンジに入りそうだろうか?

 

AAやKKは絶対に入るだろう。QQやAKが入ることも分かる。

 

ではQJsが有利になりそうなQToやJ8s・87s等は30%に入りそうだろうか?

 

入るならコールに傾きそうだということは理解できると思うが、どうやったらその答えを導けるだろう?

 

ここで大事な概念に“コンボ数”がある。

 

配られる2枚のハンドの組み合わせは、1326通りある。

 

これは52枚のカードから1枚を最初に選び、次に残りの51枚のカードから1枚のカードを選ぶことを考えてみると導き出せる。
 52×51÷2=1326

 

単純にこれだけだ。

 

なぜ2で割るのかというと、
1枚目にA♤→2枚目にK♡
2枚目にK♡→2枚目にA♤
は一緒と考える(重複しているため片方を無かったことにする)ためである。

 

さて、兎にも角にもハンドの組み合わせは1326通りである。

 

この数字は覚えた方が良い。

 

もしプレイ中に忘れていても上記の計算を頭の中でやれば答えは出せるが、今覚える方がプレイ中に頭の中で計算するよりも楽だと思うならば覚えるべきだ。

 

問題に戻ろう。

 

SBは30%のハンドでオールインをしている。具体的にどんなハンドがレンジに入りそうだろうか?

 

という問題である。

 

1326通りあるうちの30%ということは、1326*30%=397.8通りとなる。

 

つまりこの問題は、

 

ハンドの上位を数えていった時、398番目までに入るハンドって何?
と言い換えることができる。

 

なんとなくで良いので、強いと思う順にハンドを並べて、その組み合わせ数(コンボ数)も横に書いてみよう。

 

今回は簡略化するため、オフスーテッドとスーテッド(2枚のカードのマークが同じかどうか)は気にせず、

 

ポケット(AAやKK等)を6通り、それ以外のハンド(AKや87等)を16通りと数えることにする。

 

ポケットが6通り、それ以外が16通りなのは何故か?

 

もしそう疑問に思ったら一つ例を取って数えてみよう。
(4×3÷2=6、4×4=16がそれぞれの計算式だが、ここでは詳細を割愛)

 

ではなんとなく強そうなハンドから並べてみることにする。

 

左からハンド、ハンドの組み合わせ数、そこまでの合計組み合わせ数である。
AA 6 6
KK 6 12
AK 16 28
QQ 6 34
JJ 6 40
AQ 16 56
TT 6 62
AJ 16 78
99 6 84
AT 16 100
KQ 16 116
KJ 16 132←ここで10%
KT 16 148
88 6 154
A9 16 170
77 6 176
A8 16 192
QJ 16 208
QT 16 224
JT 16 240
66 6 246
A7 16 262
55 6 268←ここで20%
A6 16 284
44 6 290
A5 16 306
33 6 312
A4 16 328
22 6 334
A3 16 350
A2 16 366
K9 16 382
Q9 16 398←ここで30%
J9 16 414
T9 16 430
K8 16 446

 

……

 

いわゆる”レンジ表”や”ハンドランク表”と呼ばれるものは何かしら理由があってハンドにランクがついているが、上記は作者が「なんとなく強そう」と思う順にしている。

 

同じように、今回は皆が思う「なんとなく強そう」で構わない。

 

ポーカーでは相手がどのように考えているのかは分からないので、それっぽい理由をつけてその理由が正しいと信じて、自分でできうるレベルで数字を使って考えることが重要なのだ。

 

今回は
 ・相手は30%でオールインしてそう
 ・その30%は上記表を活用している
の2点が仮定であり、実際はどうか分からないポイントである。

 

何度も同じ相手に対して同じようなシチュエーションに遭遇すること、あるいは単純に自分の経験が増していくことで、この仮定の精度が磨かれていく。

 

これがポーカー歴の長い人のいう“リーディングが正確”というやつだ。

 

これは時間が解決する話なので未来の自分に頑張れとだけ言っておけば良い。

 

さて、では今の自分で考えられることは、ハンドを強い順に並べた表(考える人によって違う)の398番目までのハンドが相手のオールインレンジであるということである。

 

紙とペン(あるいはパソコン)と時間さえあれば、誰でもここまで推測できるのだ。

 

これで”レンジとオッズで考える”のうちの”レンジ”は考えられた。

 

次は“オッズ”だ。

 

自分はビッグブラインドで1を払っている。相手は5のオールインをしてきている。

 

ここで必要なオッズは?
 コールして勝利した場合貰える額:6(相手のベット額5+既にポットに入っているビッグブラインド1)
 コールして敗北した場合失う額:4(相手のベット額5-既に支払ったビッグブラインド1)
この数字を用いて考える。

 

(既に払っているビッグブラインドの1はもう自分のものではないと認識することが重要)

 

これは期待値の計算式となるが、
 勝利する確率×勝利時の期待値+敗北する確率×敗北時の期待値
がすべてのパターン(勝利時と敗北時)を合わせての期待値となる。

 

本当は引き分け(チョップ)も存在するが、大きく影響しないのでここでは無視する。

 

実際のプレイ中に思考する場合も、よほど微妙な状況でない限り引き分けは無視しても結果は変わることはほとんどない。

 

この勝利する確率(敗北する確率)は、実は人間には(例えプロでも)正確には算出できない。

 

なんとなくこのくらいかな? で良いのだ。

 

この感覚も勉強と実践を繰り返すことで実際の数字に近づいていくものであり、勝ち組やプロと呼ばれる人はこの感覚が素晴らしかったりあるいはオンラインではツールを使っていたりする。

 

今回は以下のようにザックリ考えられたら合格だ。
圧倒的不利なハンド(AA・KK・QQ・JJ・AQ・AJ・KQ・KJ)がそこそこ
微妙に不利なハンド(AK)が少々
じゃんけんになるハンド(22~TT、A2~AT)がいっぱい
結構有利なハンド(QT・Q9・JT)が少々
微妙に有利なハンド(T9・87等)はない
→ってことは50%よりも悪そう。でも悪くても40%くらいな気がする

 

もしこの感覚がチンプンカンプンの場合、このページの下部

 

 

「ハンド別勝率」という部分に目を通すことをおすすめる。

 

最初のうちは

 

ポケット(77)vs2オーバー(AJ)→55%

 

なんて正確に覚えなくても、 この場合大体50%くらい・この場合80%くらい・この場合30%くらい等とザックリ覚えておくことが思考の精度をあげてくれる。

 

続けていればそのうちその精度じゃ勝てない相手がいることに気づく。

 

そしたら精度を上げるためにザックリ覚えていたことを正確に覚えたり、ザックリ考えていたことを細かく考えたりすれば良いのだ。

 

さて、勝利確率を40%と仮定して期待値の計算式にあてはめていくと
 勝利する確率×勝利時の期待値+敗北する確率×敗北時の期待値
 40%×(+6)+60%×(-4)=2.4-2.4=0
ちょうど0となった。

 

ということは、
 ・相手は30%でオールインしてそう
 ・その30%は上記表を活用している
 ・自分の勝率は40%
の3つの仮定を正しいとした場合、コールしても降りてもどっちでも期待値は変わらない

 

ということになる。

 

ここまで考えたのにどっちでも良いってなんだよ!

 

と感じるかもしれないが、ポーカーはわりとこういうことがある。

 

でも勝てる人・勝てるようになれる人はここでまた考えるのだ。

 

「コールに傾く理由、ダウンに傾く理由はあるのか」と。

 

答えは常にあるわけではないが、今回はある。

 

ヒントは、「仮定した以下3つの中でどれを変えても答えは変わる」ということだ。
 仮定1:相手は30%でオールインしてそう
 仮定2:その30%は上記表を活用している
 仮定3:自分の勝率は40%

 

例えば
 仮定1に対して;相手のオールインレンジはもっと広いんじゃないか?
 仮定2に対して;22~55(QJとじゃんけんになるハンド)はオールインせず、代わりにT9のようなハンド(QJ側が有利になるハンド)を入れているんじゃないか?
 仮定3に対して;自分の勝率はもっと実は高いんじゃないか?
等が言えるのであれば、コールの期待値がさっき考えたよりも高くなり、それはつまりコールが正当化されることを意味する。

 

今までの自分の思考をもう一度辿ってみる。

 

なぜ相手のオールインレンジを30%としたのだろう。

 

なぜ上位30%のレンジを上記のように置いたのだろう。

 

なぜQJの勝率を40%と仮定したのだろう。

 

とりあえず相手のオールインレンジが何%であるかは一生誰にも分からない。

 

ここは今回の問題の肝となる仮定なので変えないことにする。

 

そして相手の考える上位30%はどんなハンドなのかも誰にも分からない。
今回は自分がなんとなく強そうと感じた順番を信じることにする。

 

ではそうした時の相手のレンジに対してQJの勝率は40%なんだろうか。
これはアプリやツールで計算してみないと本当のところは分からないが、「50%よりも悪そう。でも悪くても40%くらいな気がする」と考えていた。

 

そう。悪くても40%ってことは、本当は42%や44%くらいだと思っている。

 

計算を簡単にするため40%にしてみただけだ。

 

ということは本当に自分が考えられたことを数字にすると
 43%×(+6)+57%×(-4)=2.58-2.28=+0.3
となる。

 

つまりコールすることは期待値がプラスのアクションだと自分の思考は答えを出したのだ。

 

これで“レンジ”を考えた後に“オッズ”の考えを使って自分のアクションを決定できた

 

これが“レンジとオッズで考える”ということである。

 

数字が苦手という人には少し酷かもしれないが、とくに数字に強いポーカープレイヤーは常にこういった思考をしているのである。

 

あるいは様々なシチュエーションを経験し、「このパターンは勝率45%くらい」「このパターンはオッズ的にコールが正解」といったいわば法則や公式を多数持っている。

 

計算を正確にしていくか、経験と経験に伴う知識で賄うのか、それは人それぞれだ。

 

でも経験が浅いうちはテーブル上では脳に汗をかいてできる限りの計算をし、終わった後に上記のような思考を辿ってプレイ中の思考が正しいかを振り返ってみることでしか(運に頼らずには)結果を出せず、成長幅も小さい。

 

そして数字を使わずにただ自分の感覚だけでポーカーをし、上手い人の話も聞かず本も読まずにいる人は、(よほどの天才以外)なかなか結果が出せずに後からポーカーを始めたプレイヤーに抜かれていくことだろう。

 

ポーカーの目的は人それぞれであり、上手くなることが全てではない。

 

だが、上手くなるための最初の一歩は”レンジとオッズで考える”ことで、小学生の頃算数の授業で検算をしたようにその思考が正しいのかをしっかり振り返っていくことが大切だ。

 

ポーカーに限らずあるゲームに出会った時にそのゲームの本質を捉えることはとても大切なことであり、不完全情報ゲームであるポーカーの本質は正確な仮定と仮定に伴うアクションの決定(≒レンジとオッズで考えること)だと考えている。

 

そして遭遇した状況を自分なりに数字に置き換えて問題にすることも重要となる。

 

例えば以下のような落とし込みになる。

 

・BBは5回に1回しかブラインドを守らない。SBは7回に1回しかコール以上のアクションをしない。ではボタンで100%2BBオープンすることは利益的か?

 

・ボタンで3BBオープンしたらBBから20BBの3betAIが飛んできた。自分のハンドは77。相手の想定レンジは10%。コールは利益的か?

 

・リバー98762ボードで自分は99を持っている。ポットの2倍のオールインをされた。相手は3回に2回TTで1回はAK。コールすべきか?

 

・フロップA♡T♤6♤で自分はA♧K♧を持っている。ポットと同額のオールインをされた。相手のハンドはTT・66・AT(セットとトップ2ペア)とA♤K♤~A♤2♤(すべてのAヒットフラドロ)しか考えられない。コールは正当化されるのか?

 

信頼できる先輩プレイヤーに「このAKのKヒットはコールで正解だったと思いますか?」等と質問した時、

 

「相手はどんなプレイヤー?」

 

「相手と自分のポジションは?」

 

「相手はどんなハンド持ってそう?」

 

「ポットにいくらあって、いくらベットされたの?」

 

等細かく逆質問されてしまうのは、このように質問されたシチュエーションをしっかり数字に置き換えて回答するための材料を揃えているのである。

 

決して意地悪をしているわけではない(はず)。

 

TOMO@KL

マレーシア首都のクアラルンプール在住。

ポーカーが趣味で1~2ヶ月に1回程度仁川・マニラ・台北・ホーチミン等に海外遠征。
当初はライブトーナメントのみプレイしていたが、現在はキャッシュ・オンライン等形式は問わず幅広くプレイ。

マレーシア在住の方やポーカー好きの方等、積極的にメッセージいただけると嬉しいです。

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